妹がドラゴンに食べられた。だから魔物を食べて助けに行く。『ダンジョン飯』全14巻の魅力【ネタバレなし】
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スライムは食べられるのか。食べられるとしたら、どう料理すればおいしいのか。
ファンタジー作品で何度も見てきたおなじみのモンスターに、そんな疑問を本気でぶつけた漫画があります。九井諒子さんの『ダンジョン飯』です。
物語の始まりはかなり切実です。主人公ライオスの妹が、目の前でドラゴンに食べられてしまいます。消化されてしまう前に助け出せば、魔法で生き返らせられるかもしれない。けれどお金も食料もなく、仲間も減ってしまった。そこでライオスが思いついたのが、「ダンジョンの魔物を食べながら進めばいい」という、とんでもない作戦でした。
ふざけた設定に見えて、読み始めると驚くほど地に足がついています。魔物の体のつくりや生態がしっかり考えられていて、調理法も現実の料理の延長にある。読んでいるうちに「これは本当においしそうだ」と思えてくるのです。
2023年に全14巻で完結し、2027年10月にはTVアニメ第2期の放送も予定されています。この記事では、物語の導入部分だけにふれながら、『ダンジョン飯』の魅力をネタバレなしで紹介します。
- 巻数・出版社・受賞歴は、出版社の公式ページとニュース記事で確認しました
- あらすじは1巻の序盤にあたる導入だけにとどめ、物語の展開や結末にはふれていません
『ダンジョン飯』の基本情報
まずは作品の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | ダンジョン飯 |
| 作者 | 九井諒子 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 掲載誌 | ハルタ |
| 連載期間 | 2014年2月〜2023年9月 |
| 巻数 | 全14巻(完結) |
| ジャンル | グルメ・ファンタジー |
| アニメ | TVアニメ第1期 2024年1月〜6月放送、第2期 2027年10月放送予定 |
「このマンガがすごい!2016」ではオトコ編の1位に選ばれました。2024年には、日本で最も長い歴史を持つSF賞とされる星雲賞のコミック部門も受賞しています。電子版を含むシリーズ累計発行部数は、2024年3月の時点で1400万部を突破しました。連載中から完結後まで長く読まれ続けている作品です。
あらすじ(ネタバレなし)
ある島の地下に巨大な迷宮が見つかります。迷宮の奥には、千年前に滅んだはずの「黄金の国」が囚われているといいます。その元凶である魔術師を倒した者には国のすべてが与えられる。この言い伝えに引き寄せられ、多くの冒険者が迷宮に潜る時代が始まりました。
冒険者ライオスの一行も、そんなパーティの一つです。ところが迷宮の深い階層で食料を失い、空腹のままレッドドラゴンに挑んで敗れてしまいます。ライオスの妹ファリンはドラゴンに食べられながらも脱出の魔法を使い、仲間を地上へ逃がしました。
ファリンを助けるには、ドラゴンに消化される前に迷宮へ戻らなければなりません。しかし荷物もお金も迷宮に置いてきてしまい、一部の仲間はパーティを離れていきました。準備を整える余裕はありません。
残ったのはライオスと、魔法使いのマルシル、鍵開け担当のチルチャックの3人。そこでライオスが口にしたのが「食料は迷宮の中で現地調達しよう」、つまり魔物を食べながら進もうという案でした。
こうして一行は、モンスターを料理して食べながら迷宮の奥を目指す旅に出ます。
主な登場人物
序盤から活躍するメインの4人を紹介します。種族も性格もばらばらな4人の掛け合いが、この作品の楽しさの中心です。
ライオス
本作の主人公で、パーティのリーダーを務める剣士です。戦士としての腕は確かで、ふだんは温厚で落ち着いています。
ただし重度の魔物マニアです。子どものころから『迷宮グルメガイド』という本を読みこみ、魔物の生態だけでなく「どんな味がするのか」にもずっと興味を持ってきました。妹を助けるための作戦が、本人の長年の夢とぴったり重なってしまったわけです。魔物の話になると早口になる姿は、好きなものを語りだすと止まらない人なら身に覚えがあるかもしれません。
マルシル
魔法使いで、攻撃魔法から回復、罠の解除まで幅広い魔法を使いこなします。ファリンとは魔法学校時代からの友人です。
感情表現が豊かで、パーティのなかではいちばん常識的な感覚の持ち主です。そのため魔物を食べることには強い拒否感があり、毎回のように抵抗します。読者の「いや、それは食べないでしょ」という気持ちを代弁してくれる存在で、彼女の反応があるからこそ魔物料理のおかしさが際立ちます。
チルチャック
ハーフフットという小柄な種族で、扉や宝箱の鍵開けと罠の解除を担当します。見た目は子どものようですが、実は29歳。パーティのなかでいちばん世慣れていて、冷静で思慮深い性格です。
金銭感覚もシビアで、冒険者という仕事をあくまで仕事として割り切っています。暴走しがちなライオスと感情的なマルシルのあいだで、現実的なツッコミを入れる役回りです。
センシ
迷宮で10年以上、魔物食の研究を続けてきたドワーフです。魔物を料理しようとして手こずるライオスたちを見かねて声をかけ、見事な手際で魔物料理を作ってみせます。
食と健康へのこだわりが強く、迷宮の中でも栄養の偏った食事を許しません。調理道具と調味料を常に持ち歩く彼が加わったことで、一行の旅は本格的な「迷宮グルメ紀行」になっていきます。
『ダンジョン飯』の魅力
魔物料理が「本当にありそう」に描かれている
この作品の一番の特徴は、魔物の扱い方がとても理屈っぽいことです。
スライムやマンドラゴラ、バジリスクといった定番のモンスターについて、体のつくりはどうなっているのか、どこが食べられそうか、どう下ごしらえすればいいのかを、生き物として真面目に考えています。そのうえで、煮る、焼く、干すといった現実の調理法で料理していきます。
だから読んでいると、空想の生き物なのに「これなら食べられるかも」と思えてきます。料理漫画として読んでも、架空の生き物の図鑑として読んでも楽しめます。
ダンジョンそのものが一つの生態系になっている
魔物を食べるには、魔物が何を食べて、どこに住み、どう増えるのかを知る必要があります。その視点で迷宮を見ると、そこは冒険の舞台であると同時に、一つの大きな生態系として描かれていることに気づきます。
ダンジョンで暮らす魔物にも、ダンジョンで生きる冒険者にも、それぞれの生活と事情がある。ゲームのダンジョンでは見過ごしてしまう部分まで描いていることが、この作品に奥行きを与えています。
笑えるのに、物語はしっかり重い
1話ごとに魔物料理が登場し、4人のずれた会話に何度も笑わされます。一方で、旅の目的は「食べられた妹を救い出すこと」です。迷宮の謎や、黄金の国にまつわる因縁も少しずつ見えてきて、巻が進むほど物語は大きく、深くなっていきます。
気楽なグルメ漫画のつもりで読み始めても、いつのまにか先が気になって止まらなくなるはずです。全14巻で完結しているので、物語の最後まで一気に見届けられるのもうれしいところです。
『ダンジョン飯』はこんな人におすすめ
- RPGやファンタジー作品が好きで、「あのモンスター、実際どうなってるんだろう」と考えたことがある人
- 『孤独のグルメ』のような食べる描写が好きな人や、料理漫画が好きな人
- 個性的な仲間たちのにぎやかな掛け合いを楽しみたい人
- 笑えるだけでなく、世界の謎を追うしっかりした物語も読みたい人
- 完結済みの作品を、結末まで一気に読みたい人
- アニメを観て、続きや第2期の前に原作を読んでおきたい人
逆に、生き物をさばいたり調理したりする場面がとても苦手な人は、少し注意が必要かもしれません。気になる人は、まずは試し読みで1話を読んでみるのがおすすめです。
巻数と完結状況
『ダンジョン飯』は全14巻で完結しています。最終話は2023年9月に掲載され、最終14巻は2023年12月15日に発売されました。14巻には九井諒子さんの描き下ろし漫画も10ページ収録されています。
紙の単行本は、1巻・14巻とも定価946円(税込)です。もし全巻が同じ価格なら、そろえると1万3千円ほどになります。
レーベルは途中で変わっていて、1〜4巻は「ビームコミックス」、5〜14巻は「ハルタコミックス」として刊行されています。紙の本でそろえる場合も、作品名で探せばまとめて見つかります。
公式の副読本として『ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル』も出ています。本編を読み終えて世界観をもっと知りたくなったら、手に取ってみてください。
『ダンジョン飯』をお得に読む方法
まずは試し読みで雰囲気をつかむ
KADOKAWAの公式ページには試し読みのボタンがあり、電子書籍ストアのBOOK☆WALKERで1巻の冒頭を読めます。ほかの電子書籍ストアでも試し読みができることが多いので、絵柄や空気感が合うかどうか、まずは確かめてみましょう。
電子書籍ならセールやクーポンを活用できる
全14巻をそろえるなら、電子書籍が便利です。本棚の場所を取らず、スマートフォンでいつでも続きを読めます。
電子書籍ストアでは、時期によってセールやポイント還元、クーポン配布が行われることがあります。まとめ買いをするなら、こうしたタイミングに合わせると負担を抑えられます。価格や還元の内容は時期によって変わるので、購入前に各ストアのページで確認してください。
- Kindle(Amazon):Amazonのアカウントでそのまま購入でき、スマートフォンやタブレットのKindleアプリで読めます
- 楽天Kobo:楽天IDで購入でき、楽天ポイントが貯まって使えます。読書アプリは無料で、スマートフォン、パソコン、専用リーダーで読めます。なお楽天Koboのスマートフォンアプリからは購入できないので、ブラウザから購入します
紙の本でそろえたい人は
紙の単行本で手元に置きたい人は、Amazonや楽天ブックスで購入できます。九井諒子さんの描き込まれた絵を大きな紙面で楽しめるのは、紙ならではのよさです。
まとめ
『ダンジョン飯』は、「魔物を食べる」というひと言の設定を、驚くほど丁寧に掘り下げた漫画です。
- 妹を救うために、魔物を料理して食べながら迷宮を進むという導入
- 理屈の通った魔物料理と、生態系として描かれるダンジョン
- 種族も性格もばらばらな4人の、笑える掛け合い
- 全14巻で完結していて、結末まで一気に読める
グルメ漫画としても、冒険ファンタジーとしても楽しめる一作です。2027年10月にはアニメ第2期の放送も予定されているので、その前に原作で物語を追いかけてみてはいかがでしょうか。まずは1巻の試し読みから、ライオスたちの最初の魔物料理を味わってみてください。